寒のどん底で     寄稿者    エルピス

今年の寒さは10年ぶりと言われている。そんな声を聞くだけでゾクゾクしてくる。幸い、東京は初雪を観測したと報じられる程度で済んでいる。私はまだ見ていない。雪は困る。雪景色を楽しみたいなどと、子どもの時のような無責任発言はとてもできない。雪の中で暮らしたことがないので雪になったら一大事である。足元の危険を考えると日々のお使いにも行けなくなる。

10年に一度の寒さが昨年と何がどのように違うのか、私の記憶では比較できない。しかし、ひたすら寒い。とは言っても、主のあわれみの中で、着る物も与えられ、温かい食事を作ることもでき、暖かい部屋で過ごしこともできている。世界の、また日本の、情勢や状況を知るにつけ、寒いなんて愚痴ってはいられないと思う。

今は「大寒」の期間である。寒のどん底である。どん底にいる。2月4日は「立春」!
今は寒から暖へ向かうギリギリの地点なのだ。もちろん文字通りすぐに暖かくなるわけではない。むしろ、これからこそが天候が不安定になり、寒暖の差が激しくなり、戸惑うことが多くなるのは例年経験していることだ。しかし、戸惑ったりうろたえたりしているうちに日差しが強くなり、気温は上がり、梅も、桜も咲くようになる。

冬は人の人生の失意や老いの時期に例えられる。極寒は大きな患難困難と言えようか。季節の冬は必ず春になるが、人生の冬や患難困難は期間限定とはいかない。いつまでも果てしなく続くように思われる。どなたにも経験のあることだろうが、私にもそんな出来事がいくつもあった。今だから言えるが、期間の長短はあったが、必ず陽が射し、涙の乾く日が訪れ、春風の中を勢い良く歩けるようになった。

今日、寒の底で背を丸めてうずくまっているけれど、数日後の立春を心待ちにし、1,2か月後には必ず出会える春の歌声を楽しみに待ちたい。自然界を操作管理する創造主のお働きは微塵も狂うことはない。創造主に造られた私たちの生涯ももちろん神の御手の中で御心のままに進められている。愛以外にはなさらない神のご意志に信頼し確信して、恵みとあわれみの冠を頭上にいただける春を待ちたい。思いっきり背伸びして。

みこころの天になるごとく
地にもなさせたまえ。
主の祈りより

2023年01月31日