絵葉書          寄稿者 色えんぴつ 

私の部屋の壁に絵葉書が張ってある。
郵便が好きな私はよく絵葉書のやり取りをしていた。出したりいただいたりするときの小さな高揚感は何物にも代えがたい。
当然私の手元にきれいな絵ハガキがたまっていく。しかもそこに添えられている言葉がまたいい。
ある時、大きな額に並べて入れてみた。どれも送り主が分かる者ばかりだから、見るたびに暖かい思い出がよみがえってきた。

当然絵葉書は入れ替えをしていくのだが、去年、寝室にそのコーナーを作ってみた。そのころ送られてきたものの中で10枚を選び、大きな紙に貼ってみたのだ。

きっかけは友人のお孫さんをスケッチしたものだった。まだ1歳の幼子が正座している後ろ姿である。彼女は時々身の回りの物のスケッチを送ってくれていた。たまたまその時はお孫さんの絵で、私はくぎ付けになってしまった。1歳の子供が正座できる、孫が身近にいない私にはそのことはよくわからないが、そのかわいさは十分に伝わってきた。

そのころいただいた絵ハガキを並べてみると小さな画廊のようになった。
少女が夜の海辺で月を見上げている絵は震災復興のために作られた絵葉書のようだ。暗い夜は青一色で、小さな月が煌々と照っている。この絵ハガキは恩師から頂いたもの。

白いマーガレットの花のはがきはそのころ母上を天に送った友人からだ。長い介護生活を続けて来られた友人へのお見舞い状に対する返信だ。白い花びらが寂しさと毅然とした力強さを表している、そんな気がした。

今年はどんな絵ハガキが送られてくるだろうか。めっきり少なくなった絵葉書のやり取りを思いながら、2月を迎えようとしている。

2023年01月29日