ルカの福音書

ルカの福音書(24章) 医者の書いたイエス・キリスト
 
新約聖書3番目はルカによる福音書。ルカはユダヤ人ではなく異邦人であり主にギリシャ人を対象にして書いたという。職業は医師であった。

この書は聖書の中でもたいへん読みやすく、美しい楽しい物語が多い。中でもイエス・キリストの誕生の記事は抜きんでている。天使ガブリエルの受胎告知、マリヤの賛歌、ベツレヘム郊外で野宿する羊飼いたちへの、天の軍勢による誕生の知らせなど、あまねく世に知られるクリスマス物語はすべてこの書に由来する。これをもとに、古今の芸術家たちは名作を創作していった。

この書には、王室の役人から金持ちの門前で食を乞う病人まで多種多様の人々が登場する。特にイエス・キリストは社会的弱者に近づき、彼らの心身をいやして福音を伝えた。その様子がていねいに綴られている。たとえ話の放蕩息子や、エリコの取税人ザアカイの悔い改めの場面は、深く心を動かされ何度読んでも新しく感動する。

神の御子であるイエス・キリストが人となられて、どんなに人間と密着して働いたか、どんなに愛と赦しを注がれたかが、自分のことのように伝わってくる。たしかに、イエス・キリストは、神に背いた放蕩息子であり、非道なザアカイであった私を、捜し歩いて、救ってくださったのだ。

この書を代表するみことばをあげなさいと言われたら、ためらわずこれに決める。

『人の子は、失われた人を捜して救うために来たのです』19章10節

2023年01月31日