初春の輝き         寄稿者 そよかぜ

三好達治の「こんこんこな雪ふる朝に 梅が一輪咲きました」という詩が好きである。
我が家の梅がとうとう花開かせた。もうあちこちで紅梅白梅が咲いているが、うちのはのんびりゆっくり咲き始める。
今年の寒い日々がなんと長かったことか。朝からどんより曇った空を見ると、それだけで気が滅入ったものだ。ところが翌日は春の日、雑草が元気よく葉を広げているではないか。
川べりを散歩していると、カモの家族が遊んでいた。群れで遊んでいるのは生物の習性か。仲よさそうに見える。橋の所でしばし眺めていた。
「ね、あの鳥来ていますよ」
知らない女性から声をかけられた。指さす方を見ると、なんとカワセミである。
少し離れた大きな公園の池によくカワセミが来るという。いい天気の日にはカワセミの写真を撮ろうとして多くの素人カメラマンが集まっていたっけ。
この川にたった一羽、カワセミが来ているなんて、そこに立ち会えるなんて。

冷たい北風が吹いた次の日は暖かい光の一日。近くの大きな農家の庭の早咲き桜がピンク色の花を開かせていた。しばらく立ち止まって見ていると、メジロが二羽、花の蜜を吸いながらさえずっていた。メジロのおやつの時間だ。青い空の下で広い畑の片隅に早咲きの桜、緑のメジロはきっと幸せなんだろうな。思い悩むこともなく、「今」を生きているのだろうな。
聖書の「空の鳥、野の花」のように生きたいものである。

2023年02月20日