根開き   寄稿者 青梅

雪の降りつもった林に、木のまわりだけ雪が溶けていることがあります。これは、「雪根開き(ゆきねびらき)」や「根開き(ねあき)」と呼ばれ、春の訪れを知らせてくれる現象を指しています。
とくに、雪国地方のブナ林で見られる現象は、「ブナの根開き」と呼ばれ、写真の題材として多くの写真家に好まれています。

では、なぜ木の周辺だけ雪がなくなるのでしょうか。その理由の一つに、雪と木の(光の)反射率の違いがあげられます。雪は白いので、光をほとんど反射して温まりにくくあまり溶けません。しかし、木は黒にちかい色をしているので、光を吸収して温まります。その熱が、木のまわりの雪を溶かします。もう一つの理由は、春が近づき、日差しが強くなってくると、光合成を行うため、木が水分を活発に吸い上げるようになります。すると、幹の中は雪の温度より高くなり、木のまわりの雪が溶けるからと言われています。
いずれにしても、この現象には太陽の光が、それも春の光が必要なのです。

その春が、わが家の裏山にも訪れました。
コロナ禍で外出がままならずに、取り組んだ裏山の雑草駆除でした。
駆除した後に紫陽花、山吹などの草木を植えて、二年目の春を迎え
ようとしています。
春、夏、秋には色とりどりの花を咲かせ、濃い緑の葉を茂らせてい
ましたが、冬にはその面影など一切無く、ただの枯れ草のように萎
れています。
そこに、先日の雪です。一面雪景色となり、はたして無事に春を迎
えられるのかしらと心配していました。

今朝、裏山を見ると草木のまわりに土がありました。そうです。
「根開き(ねあき)」の現象がわが家の裏山に起きていたのです。
間違いなく草木は生きています。草木は春が必ず来ると信じて待っ
ていたのでしょう。
忍耐の大切なことを彼らから教えられた今朝でした。

2023年02月14日