創世記四〇章

創世記四〇章九節
それで献酌官長はヨセフに自分の夢を話して言った。

 神に守られ誠実に生きたヨセフは主人パロの廷臣ポティファルの家で信用されていきますが、なんとその家の夫人の愚行と讒言から強姦罪で牢に投げ込まれます。これだけは避けたかった汚名でしょう。しかし釈明などできる立場ではありません。

 不本意な牢獄生活の中でもヨセフは誠実に生き続けます。ヨセフの歩みを強めているのは、ともにいます主を明確に知っていたからでしょう。その結果、監獄の長からも信用され、牢にいるすべての囚人たちを任されます。

 出来事が起こります。神様のみ業でしょう。ヨセフは拘留された二人のパロの廷臣の夢を解き明かします。夢を見たりその意味を解き明かすのは、神様がヨセフに与えた賜物です。もっとも、その賜物が災いして、ヨセフは兄たちから疎まれたのですが。

 パロの廷臣たちの見た夢はヨセフの解いたように実現します。しかし釈放された献酌官長は世に出たとたんにヨセフのことを忘れてしまうのです。ヨセフは彼にめんめんと嘆願したのです。「あなたがしあわせになっときには、きっと私を思い出してください。私に恵みを施してください。わたしのことをパロに話してくださいこの家から私が出られるようにしてください」。ここにはヨセフの悲しみ苦しみが噴き出しています。淡々と、黙々と、軽々と牢にいたのではないのです。燃えるような、煮え返るような、切ないうめきを抱えながら耐えていたのです。救い出される日を待ち焦がれていたのです。

2023年04月06日