創世記一二章

創世記一二章一節
主はアブラムに仰せられた。「あなたは……父の家を出て、私が示す地に行きなさい」

 創世記のここまでを早送りしますとアダム→セツ→ノア→テラ→アブラハムへと繋がる太い線が見えます。このラインを繋げていく矢印こそ神様です。神様はいよいよ強く我らがアブラハムと係わっていくのです。

アブラハムは旧約聖書中最大の人物であり、私たちにとってまことに親しい『信仰の父』です。アブラハムは、父テラの死後、ともにハランまで旅してきた一族郎党を残し、甥のロトだけを連れて神様のお指図に従うのです。

神様のおことばとはいえ、最終決断は本人の意志です。実際に目に見える形で、神様が手を取り足を取って先頭に立ってくださるわけではありません。神様のおことばは魂で聞き、心で頷き、意志で従うのです。だれもが簡単にできることではありません。カナンへ旅立ちは一大冒険の旅なのです。要の石となるものは信仰です。神様への信頼です。

この旅は少人数であり寂しく心細いものだったでしょう。唯一アブラハムが見ていたのは神様との繋がり、関係だけです。

こののちアブラハムは何度か判断ミスから苦悩を招くこともありますが、その不完全さにも親しみを感じますし、なによりもそのアブラハムに密着し完全に愛し切る神様の愛が、我がことへのようにうれしく迫ってきます。

2023年03月09日