創世記三八章

創世記三八章一四節
それでタマルはやもめの服を脱ぎ、ベールをかぶり、エナイムの入り口に座った。

 この章は邪魔な異物のようです。ヨセフ物語が始まったばかりなのに、突然ユダの物語が始まるのです。出鼻をくじかれたようで神様の筆の向きが理解できません。しかし神様が迷走されるわけはありません。その理由を考えてみますと、ユダとその子孫は神様に特別に選ばれたことが分ります。ユダ部族は後のイスラエル十二部族の中で最強になり、戦いの時は全軍の先頭を駆けますし、イエス様はユダ族の末裔から誕生するのですから、神様としては何はさしおいても記さねばならないのでしょう。

 ユダ族の正当な跡継ぎペレツを産んだタマルこそ、マタイの福音書冒頭を飾るイエス様の系図に最初に登場する女性です。タマルはユダの正妻ではなく、息子たちの嫁なのです。舅ユダの理不尽な扱いで里に帰された不幸なやもめです。しかしタマルは遊女に変装して計画的に舅ユダの子を宿します。ユダの二人の息子は子の無いまま、神様にさばかれて死んだからです。ユダには跡継ぎがいないのです。 

 ユダはタマルを姦淫の罪で裁こうとします。しかし真実を知った時、潔く公の前でタマルの胎の子を我が子と認めます。タマルは双子の男の子を産みます。長子ペレツはイスラエル民族の祖になり、ルツ記では、村人はルツの子オべデを『タマルがユダに産んだペレツの家のようになりますようにと』と祝福しています。

ですから、この章は見逃せません。

2023年04月04日