創世記二二章

創世記二二章二節 
翌朝早く、アブラハムはろばに鞍をつけ、二人の若い者と息子イサクをいっしょに連れて行った。

 翌朝とは、神様がアブラハムに「あなたの子、あなたの愛しているひとり子イサクを連れてモリヤの地に行きなさい。全焼のいけにえとしてイサクをわたしにささげなさい」と命じられた日の翌日のことです。それはアブラハムにとって人生最大の試練なのでした。

 それにしても、言われた翌朝の朝早くに行動開始とは、事の重大さを思うとき、たとえ神様の命であっても、決心するまで、まして決行するまでにもう少し時間がかかってもいいと思うのです。これではまるで、オウム返しのような応答ではないでしょうか。いくら考えてもアブラハムに同調できません。

 私だったらどうするだろうか、アブラハムのようにできるだろうかと考えたとき、くっきりと見えてくるのはアブラハムの信仰です。かつてアブラハムは、天の星を見上げながら『主を信じた』のです。神様はその信仰をみて『彼の義と認めた』たのです。手も届かないはるか天の星の一つでもある跡取りはいまや一人の人間イサクとしてすぐそばにいるのです。アブラハムは神様の約束は必ず成就すると確信して、信仰を揺るがすことはなかったのでしょう。だから朝早く立ち上がれたのでしょう。

 サラが、ことを知らない訳がありません。サラはもう一度笑って愛する夫と息子を見送ったことでしょう。

2023年03月19日