創世記八章

創世記八章二〇節、二一節
ノアは……全焼のいけにえをささげた。主はそのなだめのかおりをかがれ……

 ノア家族八名が箱舟に乗りこんだのは、ノアが六百歳の時でした。その二月一七日、一気に大雨が降りだし、四十日四十夜降り続き、水は一五〇日の間増え続けました。 

 その水がだんだんに減って、地がすっかり乾ききったのはノアが六〇一歳の二月二七日のことでした。数えれば在舟期間は丸一年十日の長きに渡ったのでした。

どんなに愛し合い理解しあった家族であっても、長期間、狭い場所に顔合突き合わせていたら、口論ひとつなく、渋面ひとつ見せないでいられるものでしょうか。家族は素顔の関係ですから、一つ間違えばヒヤリとするような場面になりかねません。

 ノアたち密着家族の一年余の箱舟生活がどのようであったか、たいへん興味をそそられます。おそらく、ノアの愛に満ちたしかし強力な家長指揮権のもとで、それぞれが綿密な仕事分担をして、箱舟全体を管理運営したことでしょう。その日々はストレスに満ち、また多忙だったと想像します。

 老ノア夫妻は若い三組の息子夫婦に細やかな気遣いをしたでしょう。だから、無事に外へ出られたときの感謝は絶大だったのです。神の守りと導きのみが、新天新地に生きる奇跡をもたらしたのです。そこでノアはいの一番に最高のささげもので主を礼拝したのです。家族全員いっしょに。家族全員そろってとは奇跡でしかありません。一人の脱落者も出なかったのですから。後ろを振り返って石になり、あたら命を失ったロトの妻の悲劇は、珍しいことではありませんから。

2023年03月05日