創世記二〇章

創世記二〇章二節
アブラハムは、自分の妻サラのことを「これは私の妹です」といったので、ゲラルの王アビメレクは使いをやって彼女を召しいれた。

 先の一四章と同じようにまたアブラハムが嘘?をついています。何度読んでも首をかしげたくなるところです。特に騙したアブラハムが神様から守られ祝されるのに、騙された被害者たちがかえっておとがめを受けています。また、こうした事柄を真正面から書き込む神様のお心もよく理解できません。たぶん、当時の人々ならあっさりと受け入れる社会的文化的背景があるのでしょう。また、義なる神様の両天秤には過不足なく釣り合っているのでしょう。

 当時は、美しい妻があると、夫は殺され、妻は奪われることに相場が決まっていたようです。これが、妻ではなくて妹なら、妹は権力者に召し抱えられ、兄は厚遇されるのです。事実アブラハムには妻のサラを妹と言える、とっておきの真実があったのです。彼自身が証言しているように、サラは、アブラハムの父テラの娘で、アブラハムとは異母妹であり、当時は結婚してもよかったのでしょう。アブラハムにとってサラは妻であり妹でもあったのです。妹という関係はいざというときの隠し財産だったと言えます。

 思えばサラはアブラハムにとって二人といない役に立つ女性なのです。アブラハムはサラのおかげでアビメレクから銀一千枚ほか多くの奴隷や家畜を送られ、その地のどこにも自由に住める権利を与えられます。


2023年03月17日