創世記三一章

創世記三一章四二節
神は私の悩みとこの手の苦労を顧みられて、昨夜さばきをなさったのです。

ヤコブはラバンに騙され続けた二〇年への思いを込めて言うのです。幼い日、母の盲愛の中で我がままいっぱいに育てられ、兄エサウを出しぬき、父までも騙して長子の祝福を奪い取ったヤコブでしたが、故郷から逃げて伯父ラバンのもとに身を寄せて以後は、ラバンの手の中で思うようにこき使われ、苦労のし通しでした。しかし、ヤコブの辛苦の背後にはアブラハムの神、イサクの神の絶大な守りの御手があったのです。ヤコブは試練の歳月の中で、自分を守る神様を知り、信仰を深めていったと思われます。辛苦の二〇年の間に、ヤコブはラバンの二人の娘レアとラケルを妻にし、一二人の息子と一人の娘の父親になり、多くの使用人と莫大な家畜を所有するにいたります。

 ある夜、神様は苦悩するヤコブに「立ってこの地を出て、あなたの生まれ故郷へ帰りなさい」と言われます。ついに、ついに、神様からの帰郷命令が出たのです。望郷の思いに涙した夜が終わるのです。しかしラバンが快く許可するはずはなく、結局ヤコブは一族郎党を連れて、ラバンの留守に乗じて逃亡するのです。逃げ切れるわけもないのに。ところが神様は怒り狂うラバンに「ヤコブとことの善悪を論じないように気をつけよ」と太い釘を刺したのです。ラバンは神様がヤコブの味方であることを知り抜いていました。勝ち目のない戦いをするラバンではありません。ここに、和解が成立したのです。ガルエデ!

2023年03月28日