創世記四章

創世記第四章七節
罪は戸口で待ち伏せしている…… あなたはそれを治めなければならない。

 アダムとエバの息子カインは、神様が自分のささげものより弟アベルのを喜んで受けられたのを見て腹を立てました。神様に、です。しかしその矛先はじきに弟アベルに向かいます。妬みが憎しみへと、どす黒い炎をあげて膨らんでいきました。
 このままでは取り返しのつかないことになると思われた神様は、カインの前に立ちふさがるようにして、罪は自分の意志で治めなければならないと警告します。あなたには治める力があるはずだ、一時の激情に負けてはいけないとの思いも込めて。しかし、カインにはもはや聞く耳はありませんでした。

ともに遊び、ともに笑い、一つ屋根の下で父母に可愛いがられて育ったたった一人の弟を、野に誘い出して殺害してしまうのです。人類初の死は自然死ではありませんでした。罪とはなんと恐ろしい力でしょう。罪の前には人間は敗北しかないのでしょうか。

 しかし神様は、治めなければならないと言われました。なかば命令調です。強い語気です。犯してしまった罪を赦すのは神様にしかできませんが、犯す前の選択は人間の側の責任です。

弟を殺したカインは主の前から逃げ去って、エデンの東ノデの地に住みつくのです。神様との交わりのない地に。カインが神様から隠れ離れたがるのは、親譲りなのしょうか。 

2023年03月01日