創世記四四章

創世記四四章三三、三四節
どうか今、このしもべをあの子の代わりに、あなたさまの奴隷としてとどめ、あの子を兄弟たちと帰らせてください。……どうして私は父のところへ帰れましょう。

ヨセフの兄弟たちは末弟のベニヤミンとともにふたたびエジプトへ下ります。彼らの心ははかり知れないほど重かったでしょう。いわば命がけです。しかし、かつてヨセフはたった一人、奴隷として売られていった道です。しかも一七歳で。道々彼らはヨセフを思い出したでしょうか。 

そのヨセフは、もう一度兄弟たちとそこに弟ベニヤミンを見たとき、我知らず泣くのです。無理もありません。ヨセフは彼らを自宅に連行させます。兄弟たちの不安は極限に達したでしょう。ところがヨセフは人質にしていたシメオンを釈放し、兄たちに食事を振舞います。やがてたくさんの食糧を得て兄弟たちは帰途に就きますが、ヨセフは一計を企み、ベニヤミンの袋に自分の盃を入れておき、追っ手を出してベニヤミンに盗みの咎を負わせます。青くなって、全員は再びヨセフの前にひれ伏すのです。ヨセフはベニヤミンだけを置いて全員帰っていいと言います。

その時です、ユダがヨセフの前に飛び出して自分がベニヤミンの身代わりになるから彼を父のもとに返してほしいと切願します。「このしもべをあの子の代わりに、奴隷としてとどめ」ユダのとりなしは読む者の魂を震わせます。

このユダから私たちのためにとりなすイエス様が見えてきます。
貴いのは身代わりの福音です。 

2023年04月09日