創世記三〇章

創世記三〇章二二節
神はラケルを覚えておられた。神は彼女の願いを聞き入れて、その胎を開かれた。

創世記の後半部分はヤコブ、ヨセフを中心に、一大スペクタクルドラマが展開し、ハラハラドキドキで、一気に五十章の最後まで駆けこませる勢いがあります。思わず聖書を読んでいるのを忘れてしまいそうになり、気がついて、聖書って面白いッと、再確認するほどではないでしょうか。

美しきラケルは注目の人ヤコブに愛されて得意の絶頂にいたかもしれませんが、父ラバンの策略で第一夫人にはなれず屈辱を味わいます。それに加えて、姉レアは立て続けに四人の男の子を産み、母の座を謳歌します。ラケルはそのたびに血の出るほど唇をかみしめたことでしょう。ヤコブに愛されないレアを思うとき、多くの子が与えられてよかったとホッとしますが、一方、ラケルの身を思いやると気の毒でなりません。

ふと、サムエルの母ハンナを思い出します。ハンナも夫に愛されながら不妊のためにもうひとりの妻からさんざんにいじめられました。レアがラケルを蔑んだかどうかわかりませんが、ラケルにとっては不妊の苦しみの大きさの前には、夫の愛もかすんでしまったかもしれません。

ラケルよ、無い物ねだりはよして、夫に愛されている身を感謝しなさいと言いたいほどですが、神様はラケルのうめきを退けず、願いを聞き入れるのです。なんとやさしい気前のよい神様でしょう。 

2023年03月27日