創世記二九章

創世記二九章一六、一七、一八節
ラバンには二人の娘があった。姉の名はレア、妹の名はラケルであった。レアは目が弱々しかったが、ラケルは姿も顔立ちも美しかった。ヤコブはラケルを愛していた。

孤独な荒野の旅の途上で、まことの神様に出会ったヤコブは勇気凛凛、母の里アラムナハライムに到着し、伯父ラバンの家に落ち着きます。ラバンは思いがけない甥っ子の来訪を歓迎し、ヤコブは羊飼いの仕事を手伝うようになります。そこにはまるで誂えたように妙齢のいとこにあたる姉妹がいたのです。レアとラケルでした。聖書の記述もロマンチックでビジュアル、映画のようです。しかし波乱が起きるのは想像に難くありませんでした。

ヤコブは姉よりも妹のラケルを愛します。ラケルを見るに、イサクの愛した妻リベカ、ヤコブを偏愛した母ラケルの再来のようです。ヤコブがラケルに強く惹かれたのはたぶんに母の面影に負うところが大きいと思います。息子と母親の絆は異常なところがあります。

天から降ってきたような思いがけない居候ヤコブの働きぶりと娘ラケルへの愛を、ラケルの父ラバンは黙ってみていませんでした。利用しようとたくらんだのです。以後ヤコブはラバンに騙され続けて苦悩の歳月を過ごします。まず、ラバンはラケルとの結婚をゆるす代わりに自分のところで働く契約を結びます。さらに、ラケルと偽ってレアをヤコブの寝所に送るのです。騙されたラケルもヤコブも哀れですが、愛の無い妻の座にいるレアも哀れです。ところが神様はレアに四人の子どもを与えるのです。

2023年03月26日