創世記一章

創世記一章三一節
神はお造りなったものをすべて見られた。見よ。それは非常によかった。

 六六巻から成る旧新約聖書全巻の初巻『創世記』は、『初めに神が天地を創造した』と語りだします。しょっぱなから威風堂々、神様の登場です。『神が』、『神が』、『神が』です。圧倒されて平伏です。以後、六六巻、一一七一章のすべてに神様はヒーローぶりを発揮されるのです。聖書は、神様が作者であり、主人公でもあります。

 さて、何か創作して、作者自身が非常によかったと公言するのはめったにないことです。よほどの天才でもない限り声高に言えるものではありません。時に凡人がそう言えるとしたら、その作品に深い思い入れがあり、出来栄えよりも、評価よりも、愛着がある時でしょう。

 神様は全能のお方ですから文句なくご自分の作品を非常によかったと言われても、ちっとも違和感はなくむしろ当然なのですが、この叫びはお造りになった作品への特別な思い入れ、愛の発露だと思います。神様はその作品がいとしくてたまらないのです。そして、その作品とは、なんと人間のことです。実に私たちのことなのです。私たちといっても複数形では実感がわきません。

この私も……ですかと問いたい気がします。問うてみませんか。
神様は即座に、間違いなく、もちろんあなたのことですよと明言されるでしょう。
神様は愛です。初めに愛があったのです。『神がまず私たちを愛し――』なのです。
 なにしろご自分の形に似せてお造りになったのですから。 

2023年02月26日