せこさの影   寄稿者 浮浪雲

「せこい」という言葉の語源には諸説があるという。小さく狭い意味の語を逆さに読んだとも、舞台の隠語から来たとも聞く。由来の曖昧さは、この言葉が日常の隅に忍び込みやすい性質を示しているようだ。

その語が、政の場で現実の輪郭を帯びた。地方議員による「国保逃れ」を、当事者の所属政党が認めたという報に、私は静かな違和を覚えた。制度の綻びに身を寄せる小技は、賢さではなく、視野の狭さを映す。

遠くの出来事のはずが、ふと自分の歩みに影を落とす。規則の端を踏む誘惑は、日々の選択にも潜む。急がず、得を数えず、正しさを測り直す必要があるのではないかと思う。

せこさは小さく見えて、信頼を削る。目立たぬところでの誠実こそが、社会も心も支える。私は今日も、静かな尺度に照らされながら歩みたいと思うのです。


2026年01月24日