寒さを防ぐため、衣服を何枚も重ねて外に出る朝があります。動きは少し鈍くなり、歩幅も自然と小さくなりました。鏡に映る姿は、どこか丸く、少しユーモラスで、外見を気にしていた頃の自分なら選ばなかった装いです。
けれども、その重なりは不思議と心にも及びます。急がず、争わず、無理をしない。重ね着は、からだを守るだけでなく、心の速度を落としてくれるようでした。動きにくさが、かえって慎みを思い出させてくれるのです。
人はしばしば、軽やかさや見映えを求めます。しかし、寒さの中では守ることが先に立ちます。守られてこそ、次の一歩があるのだと、重ねた布のぬくもりが教えてくれました。
「あなたはわたしの隠れ場」(詩篇)という言葉が、ふと胸に浮かびます。多くをまとい、少し不格好であっても、守られて歩める朝がある。その恵みを覚えつつ、今日も静かに歩みたいと思います。