冬の朝、川沿いの道を歩いていました。足取りは思ったよりも確かで、息も乱れません。転ばずに歩けている、その事実だけで、身体の内側に小さな安堵が広がりました。特別な出来事ではありませんが、今日は今日として与えられている、そんな感覚でした。
川面に目をやると、低い冬の光が反射していました。冷たい色合いなのに、どこかやさしい。その揺らぎを追っていると、「まだ見えている」と、静かに思わされます。視力の話ではなく、ものを見る余裕のようなものです。
前から歩いてきた顔なじみの散歩人と、言葉も交わさずに軽く会釈をしました。それだけのことですが、互いに同じ朝を生きていると確かめ合ったようでもありました。
家に戻れば、温かいお茶が待っている。その見通しが、歩みの終わりをやわらかく包んでいました。歩きながら浮かんでは消えていく心模様を、今日はそのまま胸に置いています。