免許の更新近づく   寄稿者  季想

高齢運転者の事故の報道に触れるとき、胸の奥が静かに痛みます。判断の遅れや踏み間違いという出来事の背後には、その方が歩んできた長い年月が淡く映り込んでいるように思うのです。社会では「免許返納」がすぐに語られますが、その選択には単純な善悪では捉えられない重さがあります。

返納は事故を防ぐ大切な手段である一方で、「移動の自由」を手放す現実でもあります。車が生活の基盤となっている地域では、返納が“安全”ではなく“孤立”に変わることもあります。老いとは、身体だけでなく心の自由も少しずつ手放していく歩みなのかもしれません。

わたし自身も運転を続けるかどうかで迷ったことがありました。安全への願いと長年の生活のリズムを失いたくない思いは、どちらも大切で、簡単に答えは出ませんでした。だからこそ返納を迫るのではなく、共に考え、別の移動手段を探し、地域で支え合う関係が必要だと思います。

「あなたの道を主にゆだねよ。主はそれを成し遂げてくださる」(詩篇37篇5節)。老いの中にも主の静かな備えがありますように。そしてわたしたちもまた、その光のそばで誰かをそっと支える者でありたいと願います。

2026年02月19日