病院の待合室で順番を待っていると、時計の針ばかりが気になりました。予約の時間はとうに過ぎ、名前を呼ばれる気配もありません。椅子の硬さや空調の音がやけに耳につき、喉の奥の渇きが、じわりと意識に残ります。心は落ち着かず、早くこの場を離れたい思いばかりが募っていきました。
そんなとき、「自分のことだけでなく、他の人のことも顧みなさい」という言葉が、ふと胸に浮かびました。待つことは、ただ時間をやり過ごすことではなく、同じ場に置かれている人の存在に目を向けることでもあるのだと、そのことが胸の奥でひっそりと残りました。
隣の席では、白い杖を膝に置いた方が、呼び出し番号の紙を握ったまま目を閉じています。同じように呼ばれずにいるはずなのに、わたしの内側だけが苛立ち、狭くなっているようでした。その落差に、自分の心の浅さを見せられた思いがしました。
待たされる時間も、他者と共に与えられた時間なのかもしれません。すぐに穏やかになれなくても、同じ疲れを抱える人がそばにいることを忘れずに歩めたらと思います。焦りや苛立ちを、短い祈りに変えながら、今日の一歩を重ねていきたいのです。