ほのかな香りが告げるもの 寄稿者 花守
冬の冷たい空気の中で、ふと足を止めさせる香りに出会いました。見上げると、枝先に小さな梅の花が咲いています。風はまだ冷たく、景色も硬さを残していますが、その花は春の近さをそっと知らせていました。
梅の花は、目を奪うほどの華やかさを持ちません。白や紅、淡い桃色の花は控えめで、近づいて初めて香りに気づくほどです。それでも、寒さの残る時期に先んじて咲く姿には、耐えながら待つ強さがにじんでいるように思います。
聖書に「忍耐は練られた品性を生み出す」とあります。梅の花を前にすると、この言葉が自然と心に浮かびました。すぐに実を結ばなくても、備えられた時は確かに進んでいる。その歩みを信じることが求められているのかもしれません。
梅の名所に集う人々の姿を思い浮かべながら、わたし自身の歩みもまた、このように支えられてきたのだと感じました。ほのかな香りに背中を押されつつ、与えられた今日を大切に歩みたいと思います。春は、すでに足もとに来ています。