「寒さの中に立つ香り」  寄稿者 花守

冬の寒さがいよいよ身にしみる頃、庭先や道ばたで、すっと背筋を伸ばして咲くスイセンの姿に目が留まります。白い花弁と黄色の中心が、凍えた空気の中でひときわ静かに光って見えました。その佇まいは、誰に見せるでもなく、けれど確かにそこに立っている気品を感じさせます。

 近づくと、冷たい風の中に、ほのかで甘い香りが漂います。厳しい季節にあって、香りを放つことを忘れないその姿は、不思議な励ましのようでもありました。日本スイセンやラッパスイセン、それぞれに違いはあっても、寒さを理由に咲くことをやめない点では同じです。

 聖書には、弱さの中でこそ力が現される、という言葉があります。冬のただ中で咲くスイセンを見つめながら、その言葉が胸に静かに重なりました。恵まれた環境ではなく、むしろ厳しさの中で、与えられた役割を生きる。その姿は、信仰の歩みにもどこか似ているように思います。

 新しい年の始まりに、華やかさではなく、静かな確かさをもって立つ花。スイセンは、焦らず、比べず、与えられた場所に立ち続けることの尊さを、そっと教えてくれているのかもしれません。今年もまた、その小さな香りに励まされながら、一日一日を歩んでいきたいと思います。

2026年01月28日