「恐れの向こうに」 寄稿者 晩秋

山から下りてきたクマが人を襲うというニュースを、胸の痛みとともに見つめています。
平穏だったはずの町で起きる出来事に、人々の恐れと不安が募っています。
畑の実りを確かめに出ただけの人が命を落とし、家々の暮らしが脅かされている。
その現実の重さの前で、言葉を選ぶことの難しさを感じます。

けれども、この恐れの中で、わたしたちは何を問われているのでしょうか。
自然と共に生きる知恵を忘れ、便利さと安全を当然のものとしてきた歩みの中に、何か見落としてきたものがあるのかもしれません。

森に住む命が人の世界に現れるように、わたしたちの心にもまた、抑えきれぬ不安や怒りが顔を出すことがあります。
それらをただ排除するのではなく、どこに根を下ろしているのかを見つめる時が、今与えられているのではないでしょうか。

聖書には、「主を恐れる者は安心を得る」(箴言14章26節)とあります。
恐れそのものに支配されるのではなく、神を敬い、神の秩序に身を置くとき、心は静かに守られてゆく――そのような約束を感じます。

クマの出没という現実の前で、ただ人を守るために祈りつつ、同時にわたしたち自身の内にある恐れにも光が当たりますように。
神がこの地に再び平安をくださいますようにと、静かに祈りたいと思います。

2025年11月07日