「晩秋のぬくもり」   寄稿者 青梅

晩秋になると、昔のたき火を思い出します。落ち葉を集め、煙の匂いが空にのぼっていくあの午後。けれど今は、どこにもそんな場所がなくなりました。火をおこす人も、火を囲む人も、いつの間にかいなくなったのです。

 代わりに、家の中ではストーブが静かに赤く光っています。スイッチひとつで暖かくなる便利さの中に、どこか物足りなさも感じます。火のように、手をかざして確かめるぬくもりがないからかもしれません。炎のそばでは、人は自然と無口になり、ただ一緒に座るだけで心がほどけていきました。あの沈黙の時間が、今は恋しく思えるのです。

 それでも、小さな光を求める心は消えていない気がします。夜の台所で湯をわかす音、カップから立ちのぼる白い湯気。そうした一瞬の温度が、わたしたちの暮らしを支えているのだと思います。

 外の風が冷たくなる晩秋、わたしはストーブの前で手をあたためながら考えます。火を囲む時代は終わっても、ぬくもりを分かち合う心までは、きっと失われていないのだと。静かな光の中で、そんな確信がそっと灯るのです。

2025年12月21日