昨年は親類も含めて6人の方の葬儀に参列しましたが、今年、こんなに早くまた一人の友Hさんを見送ることになろうとは思っていませんでした。思い出を記してみようと思います。
Hさんは84歳でしたが、クリスチャンになったばかりでした。奥様は一足早く、昨年12月13日に天に帰りました。 奥様は38年の信仰生活を見事に貫いた方でした。
Hさんは信念の人で、妻の信仰を横目で見るだけで、自分から進んで神を求めることはありませんでした。時に妻の信仰を妨害することもありました。
妻が年老いて病気がちになってくると、非常にいたわり、教会への往復も付き添ってくるようになりました。そこには麗しい夫婦愛が見えました。
しかし教会には入らず、集会が終わるころになると玄関に立っているのでした。
いつの間にか教会の人たちと顔見知りになり、奥様を私たちはお母さんと呼ぶとともに、Hさんをお父さんと呼びかけるようになりました。
3年前に胃ガンの手術をしてから体調が崩れ、入退院をくり返すようになりました。
身体のあちらこちらに病気が出てきて、昨年8月にも何度目かの入院になりました。
ところが、奥様がご主人の心配と、夏の暑さのために衰弱し、彼女もまた入院してしまいました。
そして、大事件が起ったのです。
入院中に脳梗塞を起こして意識不明になり、命の危険にさらされることになりました。方やHさんの病状も思わしくなく、ご家族はふたつの病院を駆け回って看病に全力をあげました。
しかし、父親に母親の危機を知らせることができずにいました。奥様は3ヶ月半、実に静かに昏睡したまま、ついに目を覚ますことなく、年末に神さまの元に帰っていきました。
こうなっては隠し通すことはできません。子どもたちは意を決して真相をお話ししました。Hさんは努めて冷静に受け止めたようですが、激しいショックだったようです。
その中で、初めて神への思いに導かれました。
牧師に会いたいと言いだし、イエス・キリストを信じますと明確に告白しました。38年も閉ざしていた心が、妻の死をきっかけに一気に全開したのです。
まもなく洗礼式が行われ、Hさんは正真正銘のクリスチャンになりました。
そして、急激に体力を失って、ついに18日真夜中、命の最後の火が消え果てました。奥様の死からわずか1ヶ月しかたっていませんでした。
花いっぱいの祭壇の奥に、白い花で覆われた十字架を背にして、Hさんは凛とした背広姿を見せてくれました。
棺の上には、奥様のミニの遺影が乗っていて、おもわず胸がつまってしまいました。
お2人を代わる代わる見ながら、80余年生き抜いたひと組のご夫婦の人生が限りなく貴く美しく、大切なものに思われてなりませんでした。
人の価値は存在そのものにあり、神さまは人間をあるがままの姿で、愛し赦し受け入れてくださっていることをしみじみと思い返しました。
どんな状況にあろうとも、人が真実に生きていくところ、そして、天に帰っていくところには、神の愛の希望の風がひたひたとそよいでいると信じなおしました。
『あなたは高価で貴い。私はあなたを愛している』 聖書