このカテゴリーは、聖書66巻全巻を1巻ごとに大きく見回し、ワンポイントで私見する、聖書エッセイです。【希望の風】発見の旅でもあります。
エステル記4章14節~16節
あなたがこの王国に来たのは、もしかすると、この時のためであるかもしれない。
エステルはモルデカイに返事を送って言った。
行って、シュシャンにいるユダヤ人をみな集め、私のために断食をしてください。三日三晩、食べたり飲んだりしないように。私も、私の侍女たちも、同じように断食をしましょう。たとい法令にそむいても私は王のところへまいります。私は、死ななければならないのでしたら、死にます。
聖書中、これほどドラマチックで、痛快な読み物はない。
ペルシャ帝国内にひっそりと生きるユダヤ人の孤児エステルが、時の王アハシュエロスの寵愛を受けて王妃の座をゲットする。こんなことがあろうかと目を見張るところである。グリム童話ではない、史実に即したユダヤ版シンデレラ物語なのだ。
そればかりではない、ちょうどそれと合わせたように、ユダヤ人嫌いの悪大臣ハマンがユダ人絶滅の残虐な陰謀を企てる。それをエステルが、王妃の立場を使って悪事を暴き、逆にハマン滅ぼし、あわやのところで民族の危機を救うのである。
表面的にはまるで紙芝居のような単純なストーリーだが、ことはそんなに容易ではない。ひとりのか弱い女性エステルが、王妃の座を賭けて、命を賭けて、民族救済のために立ち上がるあたりに、生き方のモデルやヒントが隠されている。掘り起こしてじっくり学ぶ価値のあるところである。
エステルに魅せられて、エッセイにしたり1篇の小説にもしたほどである。私にとってはお気に入りの女性であるとともに人生の親友、あるいは師なのだ。(続く)