新年の季語に読初《よみぞめ》というのがあると聞いた。《書き初め》は子どものころから正月二日にお習字を書くことから知っていた。
詠み初めとはいい言葉である。
さて、今年はどの本からよみぞめようか。『聖書』がトップランナーであることは言うまでもないが、その他に、気に入った本から書林の旅を始め、書林の風に吹かれたい。
そこで、今年の初ショッピングを本にしようと、書店に出かけた。大型書店に行ったおかげで、読みたい本に出会った。すでに図書館で何回か借りてきて読んでいたが、自分の蔵書にしたいと思っていた。
詩人長田弘のエッセー集【読書からはじまる】である。
この本はあわてて読むものではないのがいい。速読では味がわからない。熟読玩味と言う言葉があるが、力を入れて熱中する本でもない。ときどき手にして、どこからでも読み出せばいい。そして途中で閉じていっこうに差し支えない。気ままな読み方をゆるしてくれる本である。
いい本を身近に置けるのはうれしい。
文中に《人は読書する生き物である》とある。含蓄のある言葉ではないか。
また《本はもう一人の友人》とある。ため息の出るような巧みな表現だ。思惟を深め、言葉を磨き続ける詩人の営みが強く伝わってくる。
あとがきにこんな歌が紹介されていた。幕末の人で橘曙覧(たちばなのあけみ)の作。
たのしみは 人も訪(と)いこず こともなく
心を入れて 書(ふみ)を 見るとき