行かなくなった郵便局   寄稿者 草枕

海外の友人に書物を送るため、久しぶりで郵便局に行った。そうなのだ、久しぶりと言っていい。ひところは毎日だった。どうして行かなくなったのか、大きな理由がある。郵便物のほとんどをメール便にするようになったからである。ある伝道団体の事務局を引き受けている関係から、書類の発送はほとんど毎日である。書籍の発送もある。私自身の小さな活動も加えると発送は私の大きな日課である。

ひところは気に入った記念切手が出るとわざわざ買い置きしておいて、いざ発送の時は楽しみながら貼ったものだ。メール便を使い出したと
き、切手が貼れないのが寂しかった。シールでは味気ないなあ、受け取る方がどう思うかしらと、それが唯一の気がかりだった。しかし安価と便利さには替えられない。B5サイズのニュースレターなどは、少しでも安くにするためには三つ折りにした。その手間もたいへんだった。今はそのままでサイズでしかも80円でいい。まとまれば自宅まで取りに来ていただける。宅配便のお兄さんたちは元気な声で受け答え、手際よく処理し、飛ぶように車へと走る。社員教育もしっかりしていると思える。

今では郵便局の代わりにメール便を扱うコンビニへ日参である。郵便振替で送金や支払いをしていたのもたいていコンビニでもできるようになった。日参の回数は増えるばかりである。

郵便局は閑散としていた。こんな事は今までなかったことだ。雰囲気が昔を感じさせた。なつかしいような気がしてきた。いまではハガキも記念切手もほとんど買わない。出さなくなった。eメールで、家に居ながらにして用を足してしまう。書をしたためるべきところまで、メールで失礼ですがと、断りを言ってすませてしまう。こんなことでいいのだろうかと時々反省するが、あらためて書こうとすると、どんどん時間が経ってしまって、それこそ失礼になる。私が怠惰になったのだろうが。

郵便事業は衰退の道を行っているように思う。これを時代の流れというのではないか。
かつてのような郵便局風景はもうみられないと思うのは私だけだろうか。

2024年05月06日