テレビ離れって?   寄稿者 草枕

昨今の現象で、テレビ離れが起っていると知って驚いた。それも若者に多いそうである。

活字離れ、本離れしたおおかたの人々がテレビに走ったのは昔ばなしのような過去のことだ。

では、テレビ離れした人たちはどこに向かったのだろうか。説明によれば、パソコンや携帯などのITでことを足しているらしい。

テレビでいちばんの視聴率稼ぎ手はニュースなどの報道番組だそうだ。それを、ネットで済ませるのだ。振り返れば、私も最近、ネットを開く度についニュースを見てしまう。

もともとテレビを見る習慣がないので、それまではラジオと新聞だった。それがネットで見るようになった今、ラジオのニュースは聴かなくなった。私のパソコン活用度はまだまだ限られているが、音楽も、それこそテレビもパソコンで見ているらしい。そう、映画なども見られるようだ。パソコンの前に座るだけでかなりの必要が満たされる。

買い物もネットからできる。銀行の口座管理もできる。手紙を出しに行かなくてもメールがある。文書も送れる。仕事をする人もいる。なんという便利さであろう。と、言うわけで、これではパソコンに釘付けになるのも無理はない。

外出しなくてもことが足りるのだからどうしても体を使うことが少なくなる。体力の低下に繋がらないだろうか。若いうちから足腰が弱くなると思う。筋力が衰えると思う。

人間が動物でなくて、植物化していっているように思える。若者で登山愛好者が減っているとも聞く。旅行もしかり。この現象はいったい何だろうか。時代の流れを説き明かすのは難しい。これは後世の人にお任せするしかないのだろうけれど。

テレビに戻るが、私がテレビを見ないのは時間がないからの一言に尽きる。それで通してきた。でも時々思ってきたことは、退屈するほどの時間が持てるようになったら、立派なテレビの前に陣取って、名画や名ドラマや世界の国々の映像を心ゆくまで楽しみたいということだ。テレビは老人の愛玩物になるかもしれない。

2024年04月08日