最後の一葉はなかった    寄稿者 草枕

まさに冬、今日は本当の冬の顔がみえました。つい数日前まで黄葉をまき散らしていた銀杏の木が今朝は丸裸になっていました。
実は最後の一葉を見たいと願っていたのです。オー・ヘンリーのあの名短篇を思い出しながら。
木枯らしの厳しい揺さぶりに耐えて、最後まで残るのはどの葉だろう。
それを見たら、私もすばらしいインスピレーションを受けて、名作が書けるのではないかと(皆さま、笑わないでください)期待していたのです。

無惨にも、木枯らしは一葉も残してはくれませんでした。私はただぼう然とするのみで、想像力も胎動せず、創作のペンは停止したままというわけです。

銀杏の木はよけいな物をことごとくそぎ落として身一つになりました。一糸もまとわずにこれから数ヶ月、じっと寒風に耐え抜くのです。神の助けを求めるように、梢の細枝まで天に向かって手を差し伸べています。木枯らしの中にもおられる神様は、そっと希望の風を送って木の内のある生命を守り育てるでしょう。

銀杏に倣って、まとわりつくよけいな物を振り捨て、スリムな姿で新しい年を迎えたいものです。奇しくも、我が内にさえ宿りたもうイエス・キリストを見つめながら。

へブル人への手紙12章2節
『信仰の創始者であり、完成者であるイエスから目を離さないでいなさい』

2023年12月23日