マルコの福音書

マルコの福音書(16章)かいがいしく働く神イエス・キリスト

新約聖書の初めの部分はイエス・キリストの生涯を記録した4つの福音書が位置している。マルコによる福音書は2番目になるが、4書のうち一番早く書かれたという。

マルコはイエス・キリストの直弟子、いわゆる12弟子ではない。生前のイエス・キリストには会ったこともない。マルコは一番弟子のペテロから折に触れて聞かされた話を正確に記録したと伝えられている。

この書にはイエス・キリストの誕生物語はない。いきなり、イエス・キリストの宣教から始まる。第一声は『時は満ちた。神の国は近づいた。悔い改めて福音を信ぜよ』である。この力にあふれた呼びかけは、2000年の歳月を越えてすぐそばで聞こえてくるようだ。このひと言からキリストに従った人は数知れない。

イエス・キリストは、確信に満ちた力強いことばで伝道しながらユダヤ全国を飛ぶように巡回した。ことばの人(神)であったが、同時に実行力にも長けていた。この書からは働きに働くイエス・キリストの姿がくっきりと見える。

世には座して道を説くだけの宗教家が多い。しかし、イエス・キリストはいつも歩き走っていた。嵐の海(ガリラヤ湖)の中も突き進んだ。寝食を忘れて働いた。弱っている人を励まし、病人を癒し、罪人を赦した。こんなにまめまめしく身を粉にした働く神がいるだろうか、なんと頼もしい神だろう。

身をもってお手本を示したイエス・キリストは、この書の終りでその使命を弟子たちに、さらに後の世に託している。次の言葉は遺言とも言える。

『全世界に出て行き、すべての造られた者に、福音を宣べ伝えなさい』16章15節

文字通りこのことばに生きるのが教会でありクリスチャンではないかと、怠慢な自分を省みつつしきりに肯かされている。

2023年01月30日