エステル記

エステル記(10章)
ペルシャ帝国の王妃になったユダヤ人娘の民族救済物語

内容 
本書は旧約聖書歴史部分の最後の書である。しかし年代順なら前記のエズラ、ネヘミヤの方が後になる。ペルシャ帝国内には、初代の王クロスの帰還命令が出てからも、そのまま残留しているユダヤ人が大勢いたようである。第一回目の帰還がBC536年、エステルが王妃になったのがBC478年である。

残留組のユダヤ人孤児エステルは養父モルデカイの勧めで時の王アハシュエロスの王妃募集に応募する。やがて王の寵愛を受けて王妃になる。そのころ、ユダヤ人嫌いの悪大臣ハマンがユダ人絶滅の残虐な陰謀を企てる。エステルは王妃の座を用いて王に直訴し、逆にハマンを滅ぼし、民族の危機を救う物語である。

著者 
不明。一説にBC400年頃ペルシャに住んでいたユダヤ人が書いたとある。

有名な箇所
4章14節~16節
『あなたがこの王国に来たのは、もしかすると、この時のためであるかもしれない』
エステルはモルデカイに返事を送って言った。
行って、シュシャンにいるユダヤ人をみな集め、私のために断食をしてください。三日三晩、食べたり飲んだりしないように。私も、私の侍女たちも、同じように断食をしましょう。たとい法令にそむいても私は王のところへまいります。私は、死ななければならないのでしたら、死にます』

私感 
聖書のシンデレラ、エステル 使命とは命を使うこと
この書の芯になるところは、養父モルデカイが、悪大臣ハマンのユダヤ人虐殺の陰謀を知り、王妃に上がっているエステルに、救済のために立ち上がるように促すところと、これに応えてエステルが三日三晩の断食の末、禁令を破って直訴を決意するところです。帝国の法令では、妻といえども王の許可なしには王に近づくことができませんでした。王の意に叶わない場合は即刻死が待っています。エステルは、死を覚悟して謁見の間に赴くのです。

モルデカイは『あなたがこの王国に来たのは、…この時のためである…』とエステルに迫ります。エステルはわけもなくシンデレラになったのではなく、使命があったのです。モルデカイの進言はエステルだけのものではありません。信仰の心で捕えてみると、神さまが一人ひとりに語りかけ、期待し、行動せよと背中を押しておられるのです。それは、エステルのような特別な立場や地位にいる人だけではなく、富んでいようと貧にいようと、健康だろうと病に伏していようと、あらゆる人に適用されるのです。
 
エステルはモルデカイに迫られて自分の使命に気がつきます。自己存在の理由がわかったと言っていいでしょう。王妃の座が同胞救済のためであったとわかったとき、エステルは強くなりました。
『私は、死ななければならないのでしたら、死にます』と公言し、死を覚悟で、王のもとに向かいます。拒否されればその場で命はありません。しかし歴史の神は王に働いたのです。許可のしるし金の杓がエステルのほうにすっと差し伸べられたのでした。第一関門突破です!

自分の生き死にの時と場所を的確に察知して、神さまからいただいた志に堅く立ち、使命を果たしていきたいものです。
  
ガラテヤ2章20節
『私はキリストとともに十字架につけられました。もはや私が生きているのではなく、キリストが私のうちに生きておられるのです。いま私が、この世に生きているのは、私を愛し私のためにご自身をお捨てになった神の御子を信じる信仰によっているのです』 
   

2023年01月17日