いとこ会        寄稿者 そよかぜ  

コロナも収まったように見えるがまだ油断はできない。
と言いつつも生活全体は前に戻ったような日々だ。
「そろそろどう」
といとこから声がかかってきた。埼玉の叔母を見舞い、そのあと少しおしゃべりしようというのである。老人ホームはやっとガラス越しの面会が15分とされ、3人それぞれが2時間かけて最寄り駅に集まった。
叔母は私たちの名前を忘れたり出てこなかったりしたが、話しているうち元気になって記憶がよみがえり、短い面会を楽しく過ごした。別れはつらかったが、春には必ず来るからと約束してホームを後にした。

私たち3人はみな高齢者である。私が長女で一番若いいとこももうすぐ70になる。繰り返す思い出話は子どものころのことである。
コロナが勢いあったころどんなふうに過ごしていたかが話題の中心になっていった。年は重ねていてもまだ元気。
末っ子のいとこは介護も仕事も終え、広い家に一人で暮らしている。自由がたっぷりあって退屈しないという。カルチャーセンターで英語の学びを続けており、それをボランティアにも生かしている。
次女のいとこは家事から少し解放され、あちこち自然探索をし、今は図書館が友達という。何もできない、行くところがない、などとは思わないようだ。
長女の私は「いつも出掛けてばかりいたから、喪失感で大変だったでしょう」と二人に同情された。年長者とはいえ主婦業、教会のこと、ボランティアなど、やることは事欠かなかった。
「そのうち三人であの老人ホームに入ったりして」
そんなこともあるかもしれない。こうしていとこ会はお開きになった。

2021年11月27日