二年ぶりの新幹線   寄稿者  旅女

コロナ禍が予想外に感染の火を小さくしているので思い切って少し遠方に出かけた。ふり返れば新幹線は2年ぶりである。遠方と言っても乗車時間はわずか1時間ほどである。この2年間は新幹線どころか、近くの電車にもバスにもめったに乗らなかった。よくも忠実に感染予防対策に励んできたものだ。

「今が動き時よ」、「今のうちね」とあちらこちらから聞こえてくる。決して物見遊山ではない。ずっと会えなかった親やきょうだい、親類、弱っている老友人たちへの訪問である。私の旅もその類である。施設もガラス越しに10分ほどリアルに会えるようになり、伯母に会えた、義兄に会えたと友らが知らせてきた。

2年ぶりの一人旅に多少の不安がちらついたのはコロナのせいかフレイル現象だろうか。しかし旅感覚は衰えてはいなかった。安心した。自粛の二年間、一人歩きを続けているせいか、足腰が軽い。体がよく動く。内心、ちょっと顔がほころんだ。継続は力なりとは至言だなあ、これからもできる限り励もうと新たなる決意をした。

驚いたのは、新幹線がまるで空っぽで走っていることだ。自分の列車が来るまでに数本の往来を見ていたが、一両に数名、あるいはまったく無乗客のままの車両さえあった。こんな光景は今までになかった。これでは会社の経営も並大抵ではない、コロナの被害は至るところで予想をはるかに超えて大きいのだろうと肌身で感じた。

多方面で門、扉、入り口が開き始めている。リアルでの対面、活動が増え始めている。うれしいことだが、過ぎたるは及ばざるがごとし、ではないが、これが次のコロナ感染拡大の要因にならないようにと切に祈る。平和の中でクリスマスを迎えたいし、年を越して新年に向かっていきたい。

2021年11月25日