コロナ禍からの希望の新風   寄稿者 緑風

澄み切った青空を突き抜けて、コロナ感染者数激減の新風が吹き込んでくる。数字を見て驚く。耳を疑い目を瞠る新しい知らせだ。理由はどこにあるのでしょう。なんでしょう?

ところが専門家の声はもごもごもと小さく歯切れが悪い。断言できる正確なデータがないせいだろう。もっともである。あいまいな推論を公言されても困るし、できないだろう。なぜ増加するのかは、この2年間の状況からだいぶわかってきた。だから、私たちは専門家や行政の禁止事項を固く守ってきた。今も、であるが。しかしどんなに自粛しても災禍の波は第5波まで達した。ところが今回はこの大波が強く沖へ退いていった。第6波なんてまっぴらです、再び来ないでとは切なる願いである。今の凪がいつまでも続いてほしいものだ。

秋晴れの空の下を吹きゆく新風は実に快い。こんなに大きく深呼吸するのは久しぶりである。ずっとずっと息をひそめていたのだ。知らず知らずのうちに心身のどこかがコロナストレスに傷められていたかもしれない。コロナ鬱にも陥っていたかもしれない。

ちょっと冷たい新風ではあるが、希望の光に満ちている。目には見えないが、確かに新風が事を起こしているように感じる。今は感じるだけであるが、まもなくこの目で見られるかもしれない。新風の中から『見よ、わたしは新しいことを行う』と断言する神の声が聞こえてくる。新しいこととは、再生、再来、再開、元通りではない。「新生」である。

2021年10月21日