オリンピック      寄稿者  青梅

砂浜を裸足で走る若者たちがスクリーンいっぱいに溢れている。まっすぐゴールを見据えて走る者、体全体で走る喜びを現している者もいた。
1924年のパリ・オリンピックを舞台に、実在の二人のランナーをモデルにしたイギリス映画「(邦題)炎のランナー」のオープニングのシーンである。

二人とは、走ることによって栄光を勝ち取り、真のイギリス人になろうとするユダヤ人青年と神のために走る喜びに満ちた若き宣教師であった。
競技が佳境を迎えると、勝利することに命を燃やしているユダヤ人青年には走ることの自信消失が生まれ、若き宣教師には国の栄光のためには、聖日礼拝を諦める決断が迫られる・・・、それぞれが背負いきれない重荷の前になすすべはなかったのである。

この映画のテーマは、一見するとイギリスに金メダルをもたらした二人の陸上競技選手の栄光を讃える人間ドラマに見えたのだが、原題の「Chariots of Fire(火の戦車の意)」が聖書の列王記から引用され、「火の戦車」は神さまが送られた救いの賜物だと知ったとき、じつに人が背負っている重荷の解放がテーマだと確信するとともに、二人の青年が天から降りてくる「火の戦車」を仰ぎ見る姿が目に浮かんできた。

2021年7月「東京2020」が開催される。コロナ禍で延期、中止、開催と揺れていたが、無観客という前代未聞の形式で、コロナ感染の猛威の中、開催することになった。
もはや、「安全・安心」などと呪文を唱えている場合ではない。今しなければならないのはすべてを支配し、すべてをご存じのお方・神さまの御前にこうべを垂れて、「火の戦車」を送ってくださる神さまの愛と憐れみを信じて、祈ることだと思う。

2021年07月23日