教会の花壇から    寄稿者 そよかぜ

会堂を新築して4年、何もかも新しくなった。中外が変わったのはもちろんだが、小さな花壇はそのまま茶色い土のままだった。何か植えなければと誰もが思いつつ数か月はそのままだった。

年が明けて春になったころ、動き出したのは孝子さんである。自宅から道具を持ってきて細い花壇にいくつか花を植えた。花が根づいたことを確かめると、自宅から株分けして 植えていった。気が付くと細長い花壇はたちまち季節の花で色とりどりになった。

多佳子さんは普通の日も教会に通って花の手入れをするようになった。雑草取りの時は大きなごみ袋を持参し、帰りはまるでサンタクロースのおばさんのようだった。

今年も春の訪れとともに花壇は赤や白や黄色の花でいっぱいになった。芝桜の後ろにアネモネ、みんなが覚えきれない花は教会の人だけでなく通りすがりの近所の方の目をも慰めていた。

クリスマスローズが咲いている。これはクリスマスのころから咲いている。そばにまた大きなクリスマスローズが花開いている。これはレントの時に咲くからレンテンローズという、と教えてくれた人がいる。

今の重苦しい社会の中で、レンテンローズと名付けられたベージュ色の花はややうつむき加減で花開いている。コロナでも何でも、イースターは確かに来る。私たちはそれぞれの花を植えていく。

「私は植え、アポロは水を注いだ。しかし、成長させてくださったのは神です。」(Ⅰコリント3・6)

2021年04月06日