河津桜に出会って  寄稿者 草枕

24節気の「大寒」の最中なので、寒いのは当然と覚悟はしているが、なにとはなしに季節が春に向かっているのを感じる。本能かあるいは五感だろうか。寒中を歩いていて、ふと、「河津桜」の名札を提げた桜樹があった。見上げると、なんと花が開いているではないか。

私はマスクの下の口元を大きく横に引きあげて、笑顔を作った。立春の前に見つけた私の春一番である。からだ中が熱くなった。2回目の「非常事態宣言」で鬱々していたが、吹き飛んでしまった。コロナのヴィールスが花の命に触れて退散してくれるのを願わずにはいられない。

明日はまた寒波襲来だそうである。北国の友たちを思い浮かべる。コロナと雪から守られますようにと、今晩も祈りを熱くしよう。

2021年01月26日