アナログ人間       寄稿者 色えんぴつ

自慢ではないが私は典型的な昭和人間である。

戦後の貧しい社会の中でテレビもパソコンもない時代に、すべて手作りをよしとする親に育てられた。

時代は変わり、カタカナ語などがあふれるようになってもう数年たつ。特にコロナの社会になって聞きなれない語が増えてきた。テレビや新聞では当たり前のように発せられるそれらのことばに戸惑うことも多い。

社会の行動様式も変わってきた。スマホで買い物ができない我が家ではその都度スーパーに行って実物を見て買う。今はスマホなどで予約もできるそうだ。

先日、確定申告のために家族がライン登録をした。そこに至るまでどんなにか大変だったことか。ようやく当日が来て会場前で待っていると一人の老婦人が来た。

「整理券がないと受け付けてもらえないんですか」

税務署の職員は丁寧にライン登録を勧めた。しかし老婦人にはとんでもない大作業である。それが出来なければ当日券をもらうために翌朝早く並んだらといわれていた。やっと会場まで足を運んだ老婦人はそのことを理解するのに時間がかかったが、しばらくしたらいなくなっていた。

スマホの利用料金が値下げになります、ただし自分で操作してください、そんなことばかりである。ああ、普通の日本語で普通の生活ができる社会になってほしいなあ。

変わるものと変わらないものがある。変えなければいけないものと変えてはいけないものがある。その緊張関係の中で私は生きている。

2021年03月16日