住宅地を出たところに1本のこぶしの木がある。かつて、友人が書いた文章の中に『早春に咲くこぶしの花のように』という一節があった。それ以来そこを通るたびに、ほんの一瞬だが木に目をやる。
まだ寒い二月の終わり、木の芽がぷっくりとふくらんでいた。自然と微笑みが浮かぶ。三月に入って一週間ほどすると、白いつぼみが見えた。早春に咲く花だと教えてくれた友は遠くに暮らしている。コロナ禍の今は会えないけれど、離れていても共に祈る恵みの樹に連なっていることが嬉しい。
神様の愛の中に導き入れられる人が、一人、またひとりと起こされますように。寒さの中にも眩しい光を感じて祈っている。