ちょっと楽しい話     寄稿者 スカイブルー

近年、出会った人で忘れられなくなった人が居る。片桐喜代子さんと言われる。もうすぐ、九十六歳になられる。余程楽しみなのか、或いは厭なのか、気になって気になって仕方ないのか、その話は半年前から聞いている。

初めてお会いした時、先ず「私は、○○才です。貴女はお幾つ?」と言われた。今まで出会った人々の出会いの時に、先ず年齢を言われ、こちらも聞かれた方は殆ど居なかった。

不思議な人というのが初印象だった。
彼女は「四字熟語百頁」とか言う雑誌を常に持っていらして、「今日は、ここまでやった」「明日は…」と予定を話された。少しでも興味を示された方が居ると、先輩らしく説明されて、答え合わせをする日を決めたり、手引書を紹介したりした。

兎に角、よく話される。ご一緒にお住みのお嫁さんのこと、岡山に嫁がれたお孫さんが帰宅する時は曾孫さんを連れてくるので、その時は、お嫁さんの手を少しでも軽くするため、彼女はショートステイという、泊まりがけで高齢者を置いてくれる所へ二泊三日行く話。其処にはどんな人々が来るのかを、とても楽しげに語ってくれる。時にはトランプやカルタを持参して何人かで遊ぶのだ。

彼女の積極的で誘導の上手なせいか、何人かの人々は大いに乗って、共に楽しむ。
歩行器という軽い機種に捕まって、彼女はスイスイと歩く。一日に一時間は歩くそうだ、

そうして時にはスーパーに寄り休み、その折買ったと石焼芋を私にくださる。
ただのふかしたサツマイモより数倍甘くて美味しい気がする。わが家ではその一個を食べるのに一週間かかる。小さく切って林檎と混ぜたり、マヨネーズで合えたりサラダに入れたりする。お礼を申し上げると、とても喜んで「貴女はこんなことに、優しくお礼を言われる。私も学ばされる。これからも、宜しくね」と言われ、何となく親しくなった。

2022年12月25日