秋来たる   寄稿者  エルピス

8月もあと1日を残すのみとなった。猛烈な8月だった。暑さをしのぐコロナ第七波に見舞われ、二重の熱風に命の危険さえ感じた。熱中症で亡くなる人、感染症に命を奪われる人、重症の床にうめく人で、日本中は満ち満ちた。私の周辺でも、入院には至らなかったが以前にも増して体調を崩す人が多かった。皆さんようやく回復してきているが、医師からはっきりした診断や病名を告げられることはなかったという。奇妙なことだ。

急に涼風が立って空気が冷気を含み、歴然と秋が来た。「夏さ寒さも・・・まで」と言われるが、多少の揺れはあっても、もう、かつての猛暑は続かないだろう。コロナはわからないが。

涼しくなったら会いましょうね、コロナが収まったら集会をしましょうねと言い続けて3年になろうとしている。波が収まると大急ぎでリアルの会合を開き、波が来ると首を引っ込めて蟄居した。何度繰り返したことだろう。しかし諦めない。じっと時を待っている。

人間とは何と忍耐深いのだろうと、なかば自嘲し、半ば感心する。希望があるからだ。きっと暑さも寒さもコロナも収まると信じるからだ。人は希望を食べて元気になる。信じて忍耐して今年も秋を迎える。待っていてよかった。希望を失わないでよかった。コロナもきっと収まる。ペストだってスペイン風邪だって今は歴史のかなたに去った。

「秋が来た」のだ。9月1には足音も高く大地を踏みしめて進んで行きたい。希望の秋風の中を。

2022年08月30日