新年雑感  寄稿者  銀鈴

新年も10日が経つ。お正月気分がぬけて、世間はすでに日常に戻っている。しかし、家々の玄関にはまだ「謹賀新年」の掛け紙が張られ、商店の入り口も、今年もご贔屓にとのけなげな商魂の匂う装飾が残っているが。

私はと言えば、年末に買い込んだ食材の消化に追われている。年末はなんとなく買い込んでしまう。魚肉は冷凍したからまだ使える。ハムやチーズもまだしばらく使える。使い切ってしまわねばならないのは野菜類。根菜はさておき、葉物はすでに使えないものもある。痛んだ部分を除いて、スープを作った。カレーも、ポトフも、けんちん汁も作った。そろそろ買い出しにくり出さねばならない。1月10日まで籠城できたのは、新年のスタートとしてはよかったかと思う。

雪が消えて安全になった道を辿って図書館へ急いだ。年末に借りた本類を返却し、新しく予約してきた。連絡を心待ちにしている。コロナ禍の新しい生活で、著しく増えたのは読書タイムである。本選びが一仕事だ。今年も続くだろう。よい本に出会い、甘美で有益な読書の世界に浸り続けたい。

「書くこと」も怠れない。これを貫くためにこそ、読書もあると言える。いえ、読書を利用しているわけではないが。辻邦生は「ピアニストがピアノを弾くように」日々、何時間でも書き続けると固い意志を強調する。そうか、意欲がある時だけでなく、書けないと思う時でもとにかく書くのか・・・・。ピアニストが一日中ピアノに向かって鍵盤をたたくように!!

老いてきたので心身の世界が狭く固くなってきている。しかし、狭い分、その一つのことを深く掘り、高く伸びたい。一本の樹のように。

2022年01月11日