みんなの沖縄         寄稿者 ルピナス  

今日は沖縄が日本に返還され50年たった記念の日である。
私は特に沖縄のことはよく知らないが、50年という膨大な時間が迫ってくる。

数年前、学校卒業50年の式典があった。
若い日に共に学んだ学生はみな七十代の高齢者になり、それを記念して式典に参加することになった。参加するといっても在京で元気で時間があってその気がある人だけである。
講堂は同じぐらいの年の人でいっぱいになった。ほとんどが知らない人たち、仲間以外は会話知る人もなかった。
卒業生を代表して挨拶した人は私のクラスメートだった。沖縄から来た人だった。
「大学に入るときはパスポートを取りました。まだ1ドルが360円でした」
そんな話からスピーチは始まった。
初めての東京暮らし、友との出会い、卒業して沖縄に帰ったこと、そして今は自由に行き来できることなどを語った。その話は経験者の体験からくるもので、聞く人の心に触れるものだった。その後は会館で懇親会、彼の周りには人が多く集まっていた。
学生時代、同級生といっても彼とはほとんど接触がなかった。多分コースが異なっていたからだろう。ただ沖縄出身というのは珍しかったので名前は憶えていた。
その日の終わり、ロビーでまた彼と会った。うれしいことに私の名前は憶えていてくれた。
卒業してからのことを聞いてみた。カメラマンとして沖縄問題を発信しているとのことだった。そのころは普天間・辺野古の問題がマスコミでもよく取り上げられていた。
それからしばらくして、沖縄から自然保護の観点から見る辺野古問題のCDが送られてきた。連絡が付く範囲でクラスメートの間を回している。
50年.沖縄の人々はどんな思いで過ごしてきただろう。
未だに多くの問題を抱えている沖縄。別れ際に彼が見せてくれたお孫さんの七五三のかわいい写真がまだ私の心に残っている。神様はどんな人も、どんな地をも等しく愛してくださる。

2022年05月15日