冬の祭典に寄せて    寄稿者 色えんぴつ

冬季オリンピックを通して若い人たちの活躍を見ている。

オリンピックそのものに問題はいろいろと論じられているが、選手たちのストイックな努力は大したものだと思う。

オリンピックには魔物がいるとかいないとか、そうと感じさせられることがよく起こるようである。努力すれば報われるとよく言われるが、血のにじむような練習を重ねていたにもかかわらず、自分には無関係な理由でよい結果が出なかったということは時として起こる。

高梨沙羅選手の会見は痛々しかったし、羽生結弦選手の会見はきっぱりしていて外からのお気楽なコメントを受け付けない力強さがあった。どちらも本人しか語りえない言葉であった。

日曜日、夕方から雪になるといわれていたが、礼拝後に外に出ると雨が降り始めていた。東京の雪は厄介で、ほんの数センチしか積もらなくても大騒ぎになる。スコップは買いましたか、靴は大丈夫ですか、時間の余裕を見て行動しましょうと、繰り返しテレビは告げる。

つぎの瞬間「どこまでも~」の音楽が流れ、スマートな選手たちの祭典を報じる。

私たち大人は人生が思いもかけない出来事で満ちていることを知っている。人生は常に第二希望だ、といった人もいる。

しかし私たちは知っている。第二希望がいつの間にか第一希望になるかもしれないことを。「回心」という言葉が現実であることを。

2022年02月16日