雨のSaturday afternoon 寄稿者 草枕

 久しぶりの雨です。午後からは本降りになり、道路を打つ雨脚が新鮮に聞こえます。
こんな日は外出を控えて本のページでも繰りましょうと、上げた腰を下ろして座り直しました。
 思いがけない詩に出会いました。
 今では知らぬ人のいない金子みすゞの小品です。
   
     蜂と神さま

   蜂はお花の中に
   お花はお庭の中に
   お庭は土塀の中に
   土塀は町の中に
   町は日本の中に
   日本は世界の中に

   世界は神さまの中に

   さうして、さうして神さまは
   小ちゃな蜂の中に
  みすゞは神さまを蜂の中に見たのだと、説明がありました。
 
 みすゞのいう神さまは、天地宇宙万物の創造主であり支配者である、唯一の神さまではないでしょうか。詩人の感性の鋭さに驚くばかりです。
 
 私も、雨の音の中に、土曜の午後の静けさの中に、神さまを見たいと願わずにはいられませんでした。

2024年04月23日