はなさかじいさん   寄稿者 ルピナス

桜の花真っ盛りの昨今である。
気難しい顔をして花を見上げる人は誰もいない。どんな花より豪華で神秘的な桜をいつまでも見ていたいと思う。花は美しく見る人の心は穏やか。

昔話に「はなさかじいさん」というのがある。誰でも小さい時聞いた話だ。心優しいお爺さんと欲張りのおじいさんが枯れ木に花を咲かせることになった話だ。当然のことながら良いおじいさんだけが花を咲かせることが出来た。欲張りじいさんは散々な目にあった。だから善い行いをしなさいと教えられた。

もしかして、この木は桜ではないのかとふと思う。それまで枯れ木のように見えていた木、芽がいっぱいついても枯れ木の様と変わりない。それがある日突然一つ花開き、あっという間に満開になる。その様子を見た昔の人が少しタイムアップしてこの話が生まれた、などと想像を膨らませてみるのは楽しい。

冬の間の寒い期間、桜は確実に中で準備している。枯れてなどいないのだ。
時期が来れば桜は必ず咲いてくれる。あっという間に満開になる桜を人々は感動をもって楽しんだに違いない。

今年、川べりの桜の木の下で家族の写真を撮った。
去年も同じ木の下で撮った。一年間大事にしていた。桜が咲くこと、その木の下まで健康で歩いて行けること、写真の撮り方がわかること、一つ欠けても写真は撮れない。

年度初めの4月に思うことである。成長させてくださるのは神であると。

2024年04月09日